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峯尾 英章
日本原子力学会誌ATOMO, 64(11), p.617 - 621, 2022/11
「もんじゅ」の廃止措置が決定された2016年12月にこのサイトを活用して新たに試験研究炉を設置することが原子力関係閣僚会議で決定された。その後、文部科学省により調査が行われ、中性子ビーム利用を主目的とする中出力炉に絞り込まれた。これを受けて、文部科学省は試験研究炉の概念設計と運営の在り方に関する検討を行う委託を公募し、原子力機構は、京都大学,福井大学とともに委託事業の中核的機関と位置づけられ、2020年から取組を続けている。本稿では、概念設計と運営の在り方に関する検討の体制や取組状況を述べる。
山下 真一郎; 永瀬 文久; 倉田 正輝; 野澤 貴史; 渡部 清一*; 桐村 一生*; 垣内 一雄*; 近藤 貴夫*; 坂本 寛*; 草ヶ谷 和幸*; et al.
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
我が国では、事故耐性燃料の技術基盤を整備するために2015年に軽水炉の事故耐性燃料等(ATFs)に関する研究開発プロジェクトが立ち上がった。日本原子力研究開発機構は、国内のプラントメーカ, 燃料メーカ, 大学等が有する国内軽水炉においてジルカロイを商用利用した際の経験、知識を最大限活用するために、これらの機関と協力して本プロジェクトを実施するとともに取りまとめを行っている。プロジェクトの中で検討されているATF候補材料は、微細な酸化物粒子を分散することで強化されたFeCrAl鋼(FeCrAl-ODS鋼)と炭化ケイ素(SiC)複合材料であり、通常運転時の燃料性能は同等かそれ以上で、事故時にはジルカロイよりも長い時間原子炉炉心においてシビアアクシデント条件に耐えることが期待されている。本論文では、日本のプロジェクトで実施中の研究開発の進捗について報告する。
西尾 敏
プラズマ・核融合学会誌, 80(1), p.14 - 17, 2004/01
将来の核融合炉の構造材料にとってSiC/SiC複合材料は極めて有力な候補材料である。有力であることの内容は、高温運転が可能であることによる高熱効率,低放射化材料であることによる廃棄物処理負荷の軽減及び電磁力が作用しないことによる構造設計の容易さ、である。ここでは、これらSiC/SiC複合材料の利点を活かしたトカマク型動力炉の設計例について紹介する。
曽我部 敏明; 石原 正博; 馬場 信一; 橘 幸男; 山地 雅俊*; 伊与久 達夫; 星屋 泰二*
Materials Science Research International, 9(3), p.235 - 241, 2003/09
2D-C/C複合材料は、次期の高温ガス炉(HTGRs)の炉心材料として有力な候補材の一つである。2D-C/C複合材料の空気酸化が、熱拡散率に及ぼす影響について検討した。熱拡散率は、室温から1673Kまで測定した。本2D-C/C複合材料は、PAN系の炭素繊維の二次元クロスと黒鉛マトリックスからなる。熱拡散率測定用の試験片は、この材料を823Kの大気中で1から11パーセントの間で重量減少させて製作した。酸化消耗は、マトリックス部分とりわけ炭素繊維束に近い部分から優先的に起こった。11パーセントまでの酸化消耗による室温での熱拡散率の減少率は、クロスの積層方向に平行方向では1020パーセント、垂直方向では59パーセントであった。クロスの積層方向に平行方向では、酸化消耗が進むにしたがって熱拡散率が減少する傾向を示したが、垂直方向では酸化の初期に熱拡散率が低下しその後あまり変化しない傾向を示した。この違いについては、複合材料の構造と酸化挙動から検討した。熱伝導率も得られた熱拡散率の値から求めた。
岡 潔
レーザー研究, 31(9), p.612 - 617, 2003/09
原研では、配管内という狭隘な空間において、溶接・切断加工の状況や加工前後の観察を行うことを目的に、1 系統の光ファイバとレンズ光学系で溶接・切断・観察作業を可能とする複合型光ファイバシステムの開発を行ってきた。本件では、開発した複合型光ファイバシステムを使用して高出力YAGレーザを導光する試験を行い、安定したレーザ伝送性能及び画像伝送性能が得られることを確認した。これは、カップリング装置に対して、高出力レーザを複合型光ファイバに入射する際に問題となるレーザの吸収による熱の発生を考慮し、熱が拡散しやすい構造の適用や、水冷により発生した熱を強制的に除去する等の対策を講じた結果、達成可能になったものである。なお、同ファイバにおいては、さらに高出力のレーザパワーを伝送できる可能性を秘めていると考えられる。また、本ファイバシステムを医療用レーザ治療に技術を転用した。現段階では、対物レンズに伝送ロスの問題はあるが、レンズに反射防止コーティング等を行うことで改善が可能であり、低出力な医療用レーザ治療へ適用可能であることを示した。
曽我部 敏明; 石原 正博; 馬場 信一; 小嶋 崇夫; 橘 幸男; 伊与久 達夫; 星屋 泰二; 平岡 利治*; 山地 雅俊*
JAERI-Research 2002-026, 22 Pages, 2002/11
高温工学に関する先端的基礎研究のうち、高温ガス炉技術の高度化のための原子炉要素技術の研究開発として炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材料)製制御棒被覆管の研究開発を進めている。また、実用化に反映可能となる物性予測,評価に関する基礎的な研究を「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構に関する予備試験」の一環として進めている。本報告は、これまで行ってきたC/C複合材料に関する研究開発についてまとめたものである。開発に当たっては、材料特性,構造物の製作可能性,安定供給性,コストなどを考慮し、C/C複合材料の試作・検討により有望な材料を開発した。材料特性としては、引張強さや曲げ強さ等の機械的強度が高いこと、破断ひずみが大きくかつ靭性が高いこと、中性子照射に対して寸法変化が少なく安定性が高いこと等を考慮している。その結果、炭素繊維としてポリアクリロニトリル系の平織りクロス,マトリックス材としてピッチを用い、さらに耐照射損傷性を高めるための特別な熱処理及び原子炉級に不純物を除去する高純度化を施した2次元炭素繊維強化炭素複合材料(2D-C/C複合材料)を開発した。
竹田 武司; 中川 繁昭; 本間 史隆*; 高田 英治*; 藤本 望
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(9), p.986 - 995, 2002/09
被引用回数:4 パーセンタイル:29.2(Nuclear Science & Technology)HTTR(高温工学試験研究炉)は、黒鉛減速,ヘリウムガス冷却型の日本で初めての高温ガス炉である。HTTRは、2001年12月7日に初めて定格運転で全出力(30MW)を達成した。HTTRの出力上昇試験の中で、スクラムを伴う異常な過渡変化のシミュレーション試験を30MW運転からの商用電源の手動遮断により実施した。商用電源喪失直後、ヘリウム循環機,加圧水ポンプはコーストダウンし、ヘリウム及び加圧水の流量はスクラム設定値まで減少した。16対の制御棒は、設計値(12秒)以内で重力落下により炉心に2段階で挿入した。商用電源喪失から51秒で、非常用発電機からの給電により補助冷却設備は起動した。補助冷却設備の起動後40分で、炉心黒鉛構造物(例えば、燃料ブロック)の過渡な熱衝撃を防止するため、補助ヘリウム循環機2台のうち1台を計画的に停止した。補助冷却設備の起動後、炉内黒鉛構造物である高温プレナムブロックの温度は継続的に低下した。HTTR動的機器のブラックアウトシーケンスは設計通りであった。商用電源喪失シミュレーション試験により、スクラム後のHTTRの安全停止を確認した。
竹田 武司; 中川 繁昭; 藤本 望; 橘 幸男; 伊与久 達夫
JAERI-Data/Code 2002-015, 39 Pages, 2002/07
HTTR(高温工学試験研究炉)は日本で初めての高温ガス炉(HTGR)であり、2001年12月7日に初めて全出力(30MW)を達成した。HTTRの出力上昇試験の中で、15MW,30MW運転から商用電源の手動遮断により商用電源喪失模擬試験を実施した。商用電源喪失直後、ヘリウム循環機及び加圧水ポンプはコーストダウンし、ヘリウム及び加圧水の流量はスクラム設定値まで減少した。原子炉を安全に停止するためには、制御棒の挿入により未臨界状態を維持するとともに炉心黒鉛構造物の過度なコールドショックを防止しながら、補助冷却設備により炉心を継続的に冷却する。商用電源喪失から約50秒後、非常用発電機からの給電により補助冷却設備は起動した。補助冷却設備の起動後、炉内黒鉛構造物である高温プレナムブロックの温度は継続的に低下した。本報は、15MW,30MW運転からの商用電源喪失模擬試験時の動的機器のシーケンス,原子炉及び原子炉冷却設備の過渡挙動について報告するものである。
栗原 良一; 西尾 敏; 小西 哲之
Thermal Stresses 2001, p.81 - 84, 2001/00
トカマク型核融合動力炉において、プラズマから高熱流束を受けるブランケット第一壁は、照射損傷などにより亀裂が発生する可能性がある。DREAMのSiC/SiC複合材料製ブランケット第一壁に亀裂を想定して、亀裂周辺の応力状態を調べるため有限要素法解析を行った。その結果、亀裂周辺の応力は圧縮応力状態になるが、亀裂先端のごく近傍では許容応力以上の引張と圧縮の応力集中が発生した。今後、亀裂の安定性及び限界亀裂寸法を正確に評価するために、クリープによる応力緩和等を考慮した破壊力学的評価法の開発が必要である。
西尾 敏; 植田 脩三; 栗原 良一; 黒田 敏公*; 三浦 秀徳*; 迫 淳*; 高瀬 和之; 関 泰; 安達 潤一*; 山崎 誠一郎*; et al.
Fusion Engineering and Design, 48(3-4), p.271 - 279, 2000/09
被引用回数:17 パーセンタイル:71.94(Nuclear Science & Technology)将来の商用炉として環境安全性及び保守性に重点をおいたDREAM炉を過去にすでに提案した。そこでは材料開発の著しい進展が前提とされている。実験炉の次の原型炉の建設予定時期においては、材料は開発途上であることが想定され、そのことを前提として原型炉ドリームの概念構築を試みた。以下、検討の結果得られた主なパラメータを商用炉との比較をし、記述する。
関 泰; 森 清治*; 西尾 敏; 植田 脩三; 栗原 良一
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.268 - 275, 2000/03
高い安全性、良好な環境影響、高い熱効率と稼働率を目指したDREAM炉概念を提案した。この炉のブランケットには極低放射性のSiC/SiC複合材を構造材として、化学反応性のないヘリウムガスを冷却材としている。非常に簡単な分解保守方式により高いプラント稼働率が得られ、出口温度900Cのヘリウムガスにより50%近い熱効率を実現した。このように魅力的な炉概念ではあるが、口径80cmのヘリウム冷却管を通しての中性子ストリーミングが問題となる。中性子ストリーミングが冷却管に隣接する極低温超電導磁石におよぼす影響、ガスタービン管における被ばく線量に対する効果を調べた。その結果、冷却管をトーラスの内側に引き出す場合には、被ばく線量を十分に低くできないが、トーラスの外側に引き出す場合には、追加遮蔽を施すことにより被ばく線量を十分に低くできることを明らかにした。
関 泰; 青木 功; 植田 脩三; 西尾 敏; 栗原 良一; 田原 隆志*
Fusion Technology, 34(3), p.353 - 357, 1998/11
核融合炉に使用される低放射化材料であるフェライト鋼、バナジウム合金、SiC複合材料の不純物を含めた構成元素の濃度が、どの程度以下であれば、照射後に浅地埋設できるかを明らかにする。その結果に基づいて、浅地埋設できる割合を増やすための元素組織を明らかにする。
柴田 勝之
Nucl. Eng. Des., 174(1), p.79 - 90, 1997/00
被引用回数:1 パーセンタイル:14.47(Nuclear Science & Technology)原研では、安全研究年次計画に従って、軽水炉の構造安全研究として構造機器の経年変化と健全性評価に係わる研究を進めている。年次計画の目標に沿って、「経年変化メカニズムと予測法の研究」、「経年変化の検出・評価法の研究」、「経年化機器の健全性評価法の研究」を実施している。安全性への重要度と交換の難易度から原子炉圧力容器、コンクリート構造物、電線を重要機器として抽出し、これらを対象に研究を進めている。本報告では、上記の研究の進展と今後の計画および安全研究の一環として実施した破断前漏洩研究の結果について概要を述べる。
江草 茂則; M.A.Kirk*; R.C.Birtcher*; 萩原 幸; 河西 俊一
Journal of Nuclear Materials, 119(2-3), p.146 - 153, 1983/00
被引用回数:15 パーセンタイル:81.67(Materials Science, Multidisciplinary)4種類の有機複合材料(充てん材:ガラス、カーボン;マトリックス:エポキシ、ポリイミド)に対し、2MeVの電子線を室温にて照射し、機械特性の変化を測定した。いずれの試料でもヤング率は15,000Mrad照射後も有意な変化を示さなかった。これに対し、せん断係数および破壊強度はガラス/エポキシ系では2,000Mradから低下し、他の試料では5,000~10,000Mradで低下した。この結果は、界面における接着剥離が照射により起こり、マトリックスから充てん材への荷重伝達能力が低下したためと推論された。破壊挙動として、破壊(亀裂)生長エネルギーが照射のかなり初期から増大した。この事実は界面における接着強度の低下が起こるためと結論した。
村田 浩; 武谷 清昭*; 両角 実; 片山 正敏*
日本原子力学会誌, 23(2), p.34 - 42, 1981/00
人口密度が高く、大部分の海岸が何等かの形で利用されている我国にとって、原子力施設の新立地を求めてゆくことは今後ますます難かしくなるものと予想されている。 このため、新立地として多くの利点が考えられる、海上立地について技術的可能性に関する調査検討を行なった。その結果、沖合20km、水深150m程度の海域に100万kWe級のPWRを搭載する海上プラントを建造することは可能で、その面積は140m140m、総排水量は29万8千トン程度になり、海上での動揺安定性も良好である、との見通しが得られるに至った。また、海上プラントで生産される2次エネルギーを海底ケーブル等で陸地に輸送する方式についても調査検討を行った結果、技術的に可能であるとの見通しが得られた。
村田 浩; 武谷 清昭*; 両角 実
JAERI-M 8559, 91 Pages, 1979/11
我が国のエネルギー源が大幅な石油依存から脱却するには当面原子力以外考えられないにもかかわらず、人工密度の高い我が国において原子力施設の立地は今後深刻な問題になるものと予想される。そこで新立地として我国をとり囲む海上に原子力エネルギーセンタを置く構想を検討し、その技術的可能性について調査、検討を行った。前提として、日本の沖合い20km、水深150mの海域に現存最大規模の加圧水型原子力発電所を置くことを想定した。この海上プラントは半潜水式の浮体を海底に係留する方式が適当で、面積は140m140m、総排水量は約30万トンとなり、現在の技術の延長で建造し得ることが分った。又、このような海上プラントで生産される2次エネルギーを陸上に輸送する方式についても見通しが得られた。
峯尾 英章
no journal, ,
高速増殖原型炉「もんじゅ」(以下、もんじゅ)は2016年に政府によって廃炉が決定され、同時に「もんじゅ」敷地内への試験研究炉設置も政府によって決定された。本発表では、廃止措置と設置決定の経緯と研究炉の概念設計の現状を示した。研究炉設置プロジェクトへの利害関係者の関与について説明し、利害関係者の関与に関するIAEAの主要原則の観点から説明を加えた。